【目指せ雪山デビュー】『ベースレイヤー』ってどれくらい大事なの?

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やま」と「くらし」と「いま」を発信する雑記ブログ『ど田舎はいたついん』の夫です。

いよいよ冬のシーズンがやってきました!
一面の銀世界、凛とした空気、身が凍るほどの寒さ・・・考えただけでもワクワクドキドキしてきちゃいますね。

登山好きな皆さんの中には「今年は雪山デビューしよう!」と考えている方も多いのではないでしょうか。雪山登山をするには多くの知識や経験が必要とされますが、まずは寒さから身を守るための「レイヤリングシステム」と、その中でも素肌に一番近い衣服『ベースレイヤー』について、その役割を理解してみましょう。

その前にまずは雪山の魅力を伝えさせてください!

夏山とは全く異なる雪山の世界

仙丈ヶ岳

「夏山が”プール”だとすると、雪山は”海”」というのが、それなりに雪山登山をやってきた中で筆者が感じている印象です。

プールは安全を見守ってくれる人がいて、整備された環境があります。しかし海は見守ってくれる人はいるわけもなく、荒々しい波が打ち寄せてきます。(海水浴はまた別ですが・・・)
山も同様で、夏山は整備された登山道や食べ物と寝床を提供してくれる山小屋などがありますが、雪山は全てが雪に覆われ、人の気配は皆無となります。
そういった意味で、雪山では全てを自己完結させなければなりません。

そう考えるとハードルが高くなってしまいますが、この自分だけの世界に行けることが雪山の魅力だと感じます。-20℃近い気温と体が吹き飛ぶくらいの強風、腰まで埋まるほどの雪のラッセル、刻々と変わる山の天候など、山の厳しさとともに自分の力で行ったからこそ見ることのできる絶景は「感動」という言葉では足りないほど。

いきなりこんな世界に飛び込むのは簡単ではありませんが、比良山系や伊吹山などの低山で人気の雪山や冬季もロープウェイが運行している木曽駒ケ岳や北横岳など、少しずつステップアップしていくことが大切です。

『レイヤリング』は”重ねまくればイイ”ってわけじゃない

出典モンベル
出典:モンベル

さて、ここからはレイヤリングの話に入っていきましょう。

極限の環境下で行われる雪山登山ではウェアの組み合わせ(レイヤリング)が大切な要素となります。ただし、このレイヤリングもたくさん着れば温かいという訳ではありません。ウェアの間に空気の層をつくることで保温性が保たれるのです。『より少ないウェアで、より効率よく空気の層をつくる』。これがレイヤリングの基本となり、厳しい雪山でも体温を維持する術となります。

それぞれのレイヤーの素材や機能を簡単に説明すると下記のようになります。

[ベースレイヤー]
素材:吸湿拡散性のあるもの 機能:汗を吸収し発散させる
[ミドルレイヤー]
素材:フリースやウールのセーターなど
機能:保温する、ベースレイヤーから発散された汗をさらに外へ流す
[サブ・アウターレイヤー]
素材:軽量のダウンセーターや化繊のインサレーションなど
機能:稜線上などアウターレイヤーでは耐えられない時に着用する
[アウターレイヤー]
素材:透湿性防水素材のもの(レインウェアは△)
機能:防風性と保温性を高める

一般的には画像のようにベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーの3種の組み合わせが紹介されることが多いですが、これだけでは森林限界を超える雪山では耐えきれません。厳しい寒さを想定し、ミドルレイヤーとアウターレイヤーの間に着るインサレーション(中綿の入った防寒ウェアのこと)を加えることで、保温性は飛躍的に向上します。

ベースレイヤーが生死を分ける?!

このレイヤリングの中でもベースレイヤーは肌に直接触れるため、その役割は特に重要となります。どれだけ気温の低い場所であっても人は動けば汗をかきます。その汗が冷えることで体温と体力を奪い、低体温症などのリスクを高め、最悪の場合生死をも左右することさえも。

そのため、雪山のベースレイヤーは夏以上にシビアに選ぶ必要があります。

ベースレイヤーの選び方

ベースレイヤー

ひとえに『ベースレイヤー』と言っても、形状や厚さ、素材には様々な種類があります。

形 

種類 特徴 雪山オススメ度
長袖ジップ 胸元まで換気ができる。適応温度域が広い
長袖丸首 半袖に比べ保温性が高く、紫外線防止になる
半袖丸首 夏場の登山で一般的。長袖と重ね着をしたり、アームカバーで調整ができる ×
厚 さ
種類 特徴 雪山オススメ度
ライトウェイト(薄手) 夏山で一般的。生地が薄く涼しい ×
ミドルウェイト(中厚手) 3,000m級の夏山や秋の登山、低山の冬山にオススメ
ヘビーウェイト(厚手) 分厚く保温性が高い。基本的に雪山では厚手生地を推奨する
素 材
種類 特徴 雪山オススメ度
ウール100% 速乾性に強いが、雪山では背中に冷たい感覚が残りやすい
化学繊維 3,000m級の夏山や秋の登山、低山の冬山にオススメ
ハイブリッド ウールと化繊のいいとこ取りをした高機能ベースレイヤー。メーカーによって配合率が違うので注意
1stレイヤー 近年登場したベースレイヤーのさらに下に着るレイヤー。非常にドライな特徴があり、汗冷えを軽減してくれるので、雪山では非常に有効的

今日では、様々なアウトドアメーカーから多様なベースレイヤーが登場しているので、選択肢がありすぎて、選ぶのもちょっと大変ですよね。

ですが、雪山のインナーは命を守る大切なもの。
少しでもイイものを購入して損はありません!

ちなみに街用のインナーって使ってOK?

ベースレイヤーのこと

『ベースレイヤー』といえば、ユニクロのヒートテックインナーなどをイメージする方は多いのではないでしょうか。

しかし、ヒートテックインナーをはじめとする街着用インナーを山で使用するのは絶対に厳禁です。
なぜなら、こういった街着用インナーには「レーヨン」という素材が使われていることが多いのですが、このレーヨンは乾きにくく冷えやすいという特徴があります。

街のように汗をかかないシーンであれば、高い保温性を発揮してくれますが、登山のように汗を大量にかくスポーツでの使用は適していません。
雪山用装備は基本的に登山メーカーの物を購入するようにしましょう。

自分に適したベースレイヤーを見つけよう!

ベースレイヤーのこと

ベースレイヤーやその他のレイヤリングを含め、雪山の装備は一概に「これがいい!」とは言えないのが事実。場数を踏まないと見えてこないものもあり、人それぞれに自分に適したベースレイヤーがあります。
装備なども、まずは初心者向けの雪山で試してみて、「イイ感じ!」と思ったら、少しずつレベルの高い山へとステップアップしていくのが良いでしょう。

雪山には素敵な世界が広がっていますよ!